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RHYMESTER DJ JIN Technicsサウンドトレイラ―のシステムを体験

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2017年5月、ゴールデンウィークの六本木ヒルズをステージに開催されたJ-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S。今年10周年を迎えるこのイベントにて、Technicsのオーディオシステムを搭載した移動式の試聴ルーム“Technics Sound Trailer”が初披露された。

「上質な音楽を語らう場を、もっとたくさんの方に体験していただきたい」という思いからこれから全国行脚をはじめる “Technics Sound Trailer”。今後、フェス会場などでも体験できるかもしれません。そのキックオフとして、今回はTOKYO M.A.P.Sの2日目に出演したRHYMESTERのDJ JINに、いちはやくそのサウンドシステムを体験してもらった。

 

RHYMESTER『Bitter,Sweet&Beautiful 』(アナログLP盤)より「人間交差点」を試聴

 

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――サウンドトレイラ―のシステムで聴いてみていかがですか?

 

DJ JIN:いいですね。全体のシステム込みで再生能力の高さがすごいです。自分たちRHYMESTER曲をかっこよく聴かせてくれてありがとう!という感じです。ローもそうですが高域の音の解像度がすごいですね。

 

――スタジオで狙った音と比べてどうですか?

 

DJ JIN:スタジオで狙った音よりすごくいいです。再生能力が高いですね。

 

――作った音がわりと細かくきちんと聞こえる?

 

DJ JIN:そうですね、きめ細かく聴こえます。やっぱりハイエンドのシステムで聴くと違うなと実感できます。自分はクラブで爆音で聴いたり、かけたりするので、ああいう場で聴くときは勢いのある音重視なので。

 

――こちらのシステムは低域があんまり出すぎてないですよね。DJ JINさんが普段聴いてらっしゃるものをかけていただいてもいいですか?ご自身で針を落としてみてください。

 

DJ JIN:自分のつくった作品を聴いてみたいです。

 

Cro-Magnon-Jin『The New Discovery』を試聴

 

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DJ JIN:この作品は、cro-magnon-jinで出した曲なんですが、アナログのリリースを前提に曲作りをしたんです。とりあえずファンク・ミュージックをやることは決まっていたので、7インチでのBOXセットを出そうということで、一昨年の暮れにリリースしました。アナログレコードで出すということでマスタリングをドイツのマスタリングエンジニアに、アナログレコード専用のマスタリングをお願いしたんです。そこでマスタリングエンジニアがメールの注意書きで、「アナログレコード専用のマスタリングだから、このマスタリング音源は絶対にデジタルでのリリースには使用するな」という注意書きがあったんです。

 

――つまりこのマスタリング音源を使ってCD化・配信するな、ということですか?

 

DJ JIN:そうなんです。この作品も東洋化成でプレスしたのですが、テストプレスした盤を使ってデジタルに変換したんです。

 

――アナログレコードにこだわりぬいた作品なんですね。

 

DJ JIN:マスタリングをした際の、ローの締め方とハイのクリスピー感がすごくて。アナログレコードにプレスすると音が変化しますよね。それを見越したマスタリングをやってくれて。特にこういうシステムで聴くとハイのシンバルの金属の生きてる感じや、オルガンの高域、ギターの高音がパキッと聴こえますね。さきほどのRHYMESTERの楽曲を聴いても感じましたが、“Technics Sound Trailer”で聴くと、つやつやに磨かれた音のように聴こえます。本当にいいシステムですね。なかなか普通に手が届くシステムではないですが。

 

――サウンドトレーラーはこのイベントが初お披露目で、これから全国を巡回していくんです。

 

DJ JIN:最近はデジタルで、イヤホン・ヘッドホンで聴くスタイルがほとんどだから、アナログレコードでいいシステムで、大きい音で聴くことができるのは一つのいい人生経験になりますよね。

 

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――さきほどのRHYMESTERのステージでもアナログ二枚使いのブレイクビーツ・スタイルでのバッキングこそヒップホップの基本、と実際に『Shaft In Africa』で圧巻の二枚使いのライブでした。エデュケーション(教育)するエンターテインメント。この“Technics Sound Trailer”もそういう役割を担うものだと思います。

 

DJ JIN:そうですねこういう体験は経験してみないとわからないものですからね。とてもいいと思います。フェス会場にいろんなジャンルの名盤がそろっているこのトレーラーがあったら、さらに入ってみたいですね。

 

――ご自宅のオーディオの環境についてお伺いしますがご自宅ではTechnics SL-1200シリーズを使われているのですか?

 

DJ JIN:はい使ってます。20年以上前に購入したターンテーブルを未だに使っています。

 

――Technicsの担当 伊部哲史さんより去年出たSL-1200Gの旧SL-1200シリーズからのアップグレードの説明を聞きましょう。

 

Technics伊部氏:こちらが去年発表したSL-1200Gです。プラッターが従来機より重くなり回転がより安定しています。また、トーンアームをマグネシウムに変えることで音質面が向上しています。実際に持っていただくとわかるのですが、本体はかなり重いです。18kgあります。旧シリーズの1.5倍の重量になっています。システム全部を新規で金型を作って一から設計し、組み立ても宇都宮工場、トーンアームは大阪で組み立てています。

 

DJ JIN:ピッチコントローラーがあるということはやはりDJ向きなんですか?

 

Technics伊部氏:もちろんDJの方にも使っていただけるようピッチコントローラーを残しました。音質面でも回転の制御をデジタルで対応し、再生の精度を高めています。SL-1200GAEは昨年33万円で限定モデルとして出したところ、30分で完売いたしました。高額すぎて手が届かないというお声もあったため、今年5月19日にはSL-1200GRという約半額の価格帯のモデルを出します。トーンアームを軽量化したり78回転の回転数も再生できるようになったりと進化しています。

 

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――SL-1200GRが登場することで、ハイエンドでありつつ、ポップカルチャーの中にTechnicsがいる感じがしますね。単なるオーディオマニアのものだけでない部分がありますね。

 

DJ JIN:自分としても、ターンテーブル・オーディオをもっと気軽に楽しんでもらいたいから、こういうサウンドトレーラーのシステムはいいですよね。こういう「しっかりとしたいい音が出せる」っていうことを証明することが必要ですね。

 

――そしてRHYMESTERも、Technicsもアップグレードしようという点が共通していますよね。RHYMESTERも音楽のアップグレードをかなり意識されているように感じますが、いかがですか。

 

DJ JIN:今までやってきたことから分断して何かやることができなくて。僕たちはキャリアが長いのでいきなり若者ぶって何か始めることができないんです。それをやって失敗している先人も見ているし。今までやってきたことを生かしてアップグレード・アップデートしていきたいですね。

 

――最後の質問です。リスナーの立場から、これからオーディオを購入される方へメッセージをお願いします。

 

DJ JIN:今はスマートホンから音楽を聴くことが多くなっていると思いますけど、音を体で浴びるという感動は何物にも代えられないので、それを是非経験してほしいです。RHYMESTERとしては、家で作品を聴いてもらえるのはもちろん、ライブハウスにも来てもらいたいですし、普段アナログレコードでDJをしているのでクラブにも来てほしいですね。普段経験できないことだと思うから、足を運んでいろいろ経験してほしいです。《終わり》

 

取材:本根誠 文:松田里子   撮影:中川学

 

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