鈴木慶一 × 和田博己 
「ぼくらのオーディオ・ヒストリー」

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『今は多くの人が様々な聴き方をしてるから、音の良し悪しは相対的なものになっているかな』(和田)

 

 

ーーーアナログ、CD、ハイレゾ、いろんなメディアがあって、聴く人によって音の嗜好も違ってきていますよね。今後、CDはなくなって、アナログとハイレゾの両極になるということも言われていますが。

 

鈴木「ハイレゾは確かに魅力的だね。スタジオとほとんど同じ音で聴けるから。でも、過去の作品なんかはハイレゾが向かないのもあると思う。例えばビートルズのハイレゾあるじゃん、スティックのやつ」

 

和田「リンゴ型の?」

 

鈴木「そう。これは最高だろうと思って聴いてみたら良くないんだよ、そんなに(笑)」

 

和田「そんなことないと思うけどなあ」

 

鈴木「まあ、あくまで私の印象だけどバラけて聴こえ過ぎちゃって。曲がフェイドアウトする時にいろんなものが聴こえてくるわけだ。ぐちゃっとした感がない。これは趣味の問題で、それぞれ自分のビートルズのイメージが必ずあるからね。結局、モノラルのアナログが一番良いってことになる」

 

和田「ああ、昔はうまく混じり合ったまま消えて行ったのが、(ハイレゾだと)すごい小さい音になっても細かい音が判断出来てしまうっていう」

 

鈴木「ただ、それを反省したからかどうかわからないけど、最新の『ザ・ビートルズ1』は良い音してるよね」

 

和田「今のところ一番良いね。まあ、今は多くの人が様々な聴き方をしてるから、音の良し悪しは相対的なものになっているかな。例えば40歳以上の人は、アナログ中心だったり、CD中心だったり、ハイレゾまで手を出してる人がいたりって、いろんな聴き方をしてる人がいるでしょ。じゃあ、大学生くらいまでの若い層はというと、多分MP3でしか聴いてないんじゃないかっていうぐらい残念な状態だったり」

 

ーーーでも最近、そういう若い層がアナログに興味を持ち始めています。音を聴く環境の変化が、音楽の嗜好の変化にも繋がるかもしれないですね。

 

和田「去年、12月20日に慶一君の45周年記念のコンサートで、はちみつぱいを最後にちょっとやらせてもらったんだけど、それを慶一君のバンド(コントロヴァーシャル・スパーク)のメンバーの若い女の子が〈面白い〉と言ってくれたりするわけ」

 

鈴木「これまで生で聴いたことも見たこともないような人がね。俺達は〈最低な演奏したな〉って言ってたけど(笑)」

 

和田「それはまあ、別の話でさ(笑)」

 

 

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