鈴木慶一 × 和田博己 
「ぼくらのオーディオ・ヒストリー」

toyokasei_160321_001

『〈レジェンド〉と呼ばれてもいい。普通は呼ばれたくないけどね(笑)』(鈴木)

 

 

ーーーはちみつぱいといえば、5月に大阪と東京でバンド結成45周年ライヴが予定されていますが、オーディオの変化がライヴに影響を与えたりもするのでしょうか。

 

鈴木「サウンドは大きく変わるよね。はちみつぱいをやるのは88年以来だし、その前は74年だからライヴの音も全然違う。しかも、全然集まってなかったメンバーが突然、一緒にやるわけだかから」

 

ーーー12月20日の時はどれくらい練習したんですか?

 

和田「3回くらい?」

 

鈴木「それくらいかな。みんな曲は憶えてたし」

 

和田「3回目なんか半分くらいでやめて飲みに行っちゃった(笑)。これくらいでいいかって」

 

鈴木「やってもしょうがないよ。しかも、はちみつぱいをやって何が面白いかって、コーラスのパートを決めないんだよ。みんな歌いたいところを歌う」

 

和田「多分、(グレイトフル・)デッドもザ・バンドも決めてたとは思えないんだよね」

 

鈴木「そう。デッドは決めてないね。誰かが声を出したらハモっていくみたいな感じ。だから毎回違うんだ」

 

和田「もちろん、演奏もそうなんだよね。多くのバンドが2回同じ演奏はできないけど、そうじゃなくて、もっと極端に毎回違うんだよ、俺達。〈あいつがああやったら俺はこうやる〉っていうふうになっちゃうので、ソロの長さも勝手だし」

 

鈴木「俺達のライヴは毎回新曲をやってるみたいなもんだから」

 

ーーー久し振りに集まって、そういう演奏ができるっていうのスゴいですね。

 

鈴木「若い時に密な時間を過ごしたからね」

 

和田「はっぴいえんどって、4人の生活とか関わり方がバラバラだったと思うけど……悪い意味じゃなくてね。俺達は飲みに行くのも、演奏するのも、ヘタすると寝るのもいつも一緒だった」

 

ーーーその密な関係は今もずっと続いているんですね。

 

鈴木「そういうこと。88年のライヴでは新曲を作ったりしたけど、今回は昔の曲を今の形態で演奏できればいいと思う。だから〈レジェンド〉と呼ばれてもいい。普通は呼ばれたくないけどね(笑)。はちみつぱいはそれでいい。それのほうが似合ってると思うから」

1 2 3 4 5